なぜ今、プロデューサーなのか?
|
Cool Japanとして語られる日本製コンテンツ、そしてオリジナリティ溢れるクリエーターを数多く擁する日本が世界的な評価を受けているのは、今や常識です。まだまだこれからもわが国は世界で通用する技術やクリエイティビティを内包しています。 しかしながら残念なことに、産業としては「世界的評価=経済的成功」という構図はいまだ出来てはいません。世界に通用するような才能[タレント]たちもごく稀なセルフプロデュース力を持ち合わせた人々をのぞいては、どのように世に出てよいか分からず、経済的に困窮しているケースが多々あります。そのようなクリエーターを発掘、サポートし、共に作品を作り上げて世に送り出し、経済的成功を収める、という職務を負うプロデューサーがいま、必要とされているのです。 “コンテンツ”といっても、映画、アニメーション、ゲーム、舞台など、その類型は様々です。しかし共通しているのは、クリエイティビティを起点として、多数の人間が参加し商品を作り上げる産業として成り立っているということです。 国際化、世界標準でのモノづくりの一方で、未曽有の経済不況、マーケットの縮小など、他の製造流通産業と同じく、コンテンツビジネス界もまた新しい局面を迎えています。さらにそこでは、デジタル化・オンライン流通などによるパッケージビジネスの収斂など、今後の方向性・戦略についての策定が迫られているのです。 そのような現代だからこそ、現場で戦い続けている現役のプロデューサーたちから戦場を学び、共にコンテンツビジネスの未来を考え、次の時代を創って行きたい、という強い思いを発しました。その結果、同じ思いを持つ素晴らしいプロデューサー講師の方々が参集して下さり、このセミナーを開講することとなりました。 とかく文化的・芸術的側面からのみ語られることの多いコンテンツ産業ですが、実はビジネスという観点からコンテンツをクリエイションするのが、プロデューサーの本分です。プロデューサーは事業設計を行い、資金を調達し、成功のためのアライアンスを行い、リクープとその先の収益を目論見ます。素晴らしいコンテンツとは決して芸術性の高い作品ということだけではなく、事業的成算はもちろんのことながら、観客だけでなく、携わるスタッフをも幸せにするものです。 本セミナーはこれまで語られることのなかった、「製造・流通・小売」という、これまでクローズドドアの向こう側にあったビジネスフィールドから、初めてプロデューサー育成のためのプログラムを開示・提供し、日本のコンテンツ業界進行へ大きく寄与することを目指していきます。 どうぞ御期待下さい。 東京大学大学院情報学環コンテンツ創造科学産学連携教育プログラム 特任准教授(2005-2008年度)
【PROFILE】(くの・つとむ) 1967年、山口県生まれ。1993年に(株)円谷プロダクション入社。キャラクターMD営業、演出、制作等に携わった後に同根の円谷映像(株)へ移り、映画プロデューサーとなる。1995年には(株)東北新社の制作・配給部門の映画プロデューサーとして単館・ミニチェーン作品群を製作。1999年、(株)ギャガ・コミュニケーションズの製作担当グループマネージャーに着任。2003年、同系資本の日活(株)へ転籍し、製作部長、配給部長、映像開発本部本部長、製作・配給担当取締役を歴任した。05年からは東京大学大学院情報学環産学連携教育プログラムにおいて特任准教授(08年度まで)を務めていた。 |
|
講師からのメッセージ コンテンツ産業は現在、グローバル化に対応できる“輸出品”として、国も政策集中をして期待する市場です。また、海外コンテンツ事業者も日本を大きな消費マーケットとして狙っています。そんな中、現場では様々な問題を抱えながら、時流をどう読み、どう切り込んでいるのでしょうか。 カリキュラムを常に最新のものに開発することにより、新しい産業モデルを開発・提案するための“デジタルコンテンツ・コンビナート”となることを目的としています。履修した方々が産業界とのネットワークを活用してデジタルコンテンツ産業に貢献し、さらにこの“デジタルコンテンツ・コンビナート”を基点として、日本に“アジア・ハリウッド”を創生することを目指します。また国際的な波にどう乗るのか、または乗ってはいけないのかということを、現場のプロデューサーから学び、共に考えていく場を提供していきたいと思っています。 映画制作、洋画買付、配給、興業、2次3次利用など、映画産業の基本的な全体像を解説していきます。日本の映画産業と北米映画産業との比較、従来のビジネススキームやリクープソースの多様化に伴うスキームの変化、映画の持つ文化的側面と産業としての側面など、映画産業の骨子となる事項を、経験に基づいた視点をもとに展開していきます。 久松 猛朗(ひさまつ・たけお) 株式会社 衛星劇場 代表取締役社長/講座:「映画製作事業論ービジネスとしての映画論」担当 |


